塀の中のカラオケ大会

塀の中に入るのは２年ぶりでした。

刑務官さんたちの温かい笑顔とは対象的な

キーンと冷たく張り詰めた空気。

鉄格子に囲まれたコンクリートの廊下を進んだ先に

真新しい体育館があります。

そこが「カラオケ大会」の会場です。

途中、前日の夜ごはんのディスプレイが

置いてありました。

たしか、青菜のおひたしみたいなものと

白身魚など。

ボリュームがあるとは言えないまでも、

どこかの社員食堂くらいの定食。

(あ、美味しそう)と思いました。

私は２０１３年の５月頃から

富山刑務所で月に１回、放送される

「７３０ナイトアワー」というラジオ番組のDJのアシスタントを

務めさせていただいています。

(現在は育児のため一時活動休止中)

毎月、最終月曜日の夜７時から１時間半の生放送。

生放送といっても、実際には公共の電波を使っているわけではないので

「館内放送」を活用したものではありますが、

受刑者のみなさんから毎回たくさんの【コメント】【リクエスト曲】が

寄せられています。

出産数か月前からDJ活動はお休みさせていただいていますが、

こうしたご縁から

富山刑務所で毎年１２月に開かれる「カラオケ大会」に

司会者として招いていただいております。 

女性の受刑者は増加傾向にあるものの、

富山刑務所のような男性向けの刑務所の受刑者は

年々減っているようで、

体育館に集まったのは独房の方以外の２８０人弱の受刑者のみなさんです。

各工場の代表者１０人が舞台上で歌い、その歌声を競います。

審査員は　篤志面接員の方やカラオケ機器を提供する会社の方、

地元のプロミュージシャンなどです。

 「確認です。

拍手はありです。

立ち上がったり声をかけたりすることは

一般の社会ではありですが、ここでは控えてください。

これは【ルール】です。

活発かつ明瞭な拍手をお願いします。

拍手は強制ではありませんが、

前に出てきてくれるのは

色々な思いを抱えながら

みんなを代表して立って歌ってくれています。

思いやりの拍手をお願いします。

これは【マナー】です。」

刑務所長のあいさつから始まったカラオケ大会。

その年によって（所長さんによって）

手拍子OK

な場合もあるので 、

司会者にとっても　このあたりのルールを確認しておくことは重要です。

さて、今年は　どんな歌が披露されるのか・・・。

(続く)